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lundi, février 06, 2006

宗教戦争

日本がライブドア事件に揺れている頃、ヨーロッパでは、意外なところから深刻な宗教戦争が勃発していた。

ことの発端はデンマークのユランズ・ポステン紙。イスラム原理主義の有名なテロリストをパロディ化した諷刺画や、預言者ムハンマドをデフォルメした画を載せたことに始まる。この画を実際に見たが、どう見てもイスラム教徒が怒るだろうというのは想像できる代物だ。

イエス・キリストをパロディ化したり、他の著名な預言者を諷刺した画を載せても、ここまでの騒動にはならないだろう。なぜなら、イスラム教では、偶像崇拝を禁じている教義上、預言者ムハンマドの顔そのものを描くことが禁じられているためだ。顔を描いた上に、それがデフォルメされていたら・・・。怒るに決まっている・・・。

なぜ顔を描いてはいけないということを知っているかというと、小学生だか中学生の時に読んだ世界史の漫画(確か小学館)で、イスラム教を開祖した預言者ムハンマドについて書かれたパートで、周りの人々の顔はリアルに描かれている中で、ムハンマドの顔のみが黒く塗りつぶされていたから。

疑問に思って註釈を見たら、「宗教上の理由により、顔を描けないことになっています」といったことが書かれていた。偶像崇拝と同じで、顔を描いていいということにすると、色んな人が色んな解釈でムハンマドの顔を描いてしまって、それが宗教上の教義にも影響するから、ということらしい。

ムハンマドはあくまで神性をもたない人間であるから、崇拝の対象としてはならず、図像化することも許されない。
(Wikipediaより)

まだイスラム教自体がそれほど日本で関心を持たれていなかった時期に、小学館はきちんとそういう配慮をしていたのだった。ほっ。(多分監修をお願いした中東専門の大学教授が指導したんだと思うけど。)

ユランズ・ポステン紙がどういう意図で載せたのかは知らないが、随分と高い代償を払うことになるのは間違いない。(もう既に多大な代償を払っているが・・・)

イスラム教徒の激怒は国を超えて拡がり、デンマーク製品のボイコットやサウジアラビア、シリアのデンマーク大使召還を始め、リビアからは大使館自体が閉鎖された。

ところが、「表現の自由」を守るという観点から、これらの動きに対抗してヨーロッパ各国(ノルウェー、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン・・・)が同じ諷刺画を「転載」という形で掲載。イスラム教徒の憤怒は、対デンマークから、対ヨーロッパへと変化している。

フランスでは、掲載した新聞紙のオーナー(株主)がイスラム教徒のエジプト系フランス人だったため、編集長は解任された。これに続き、CEOも自ら辞任しているため、世間の波紋を呼んでいるという。編集長の解任を受け、社内会議が開かれ、オーナーによる不当解雇について、社員たちが反対の意を表明する、という方向が決まった。

イスラム教徒による抗議運動やデモはアジアにも拡がり、アフガニスタンでは警察との衝突から死者も出ている。

「表現の自由」と「信教の自由」という二つの自由を守るための闘争だが、ヨーロッパの場合はこれに、「移民問題」「テロ」という別の軸が絡んでいるはずだ。なぜなら、デンマークが載せた諷刺画が、迫害されている少数民族や差別を受けている特定の人々がモチーフだったら、少数民族の人々が決起するまでもなく、世論が掲載を批判するだろうと想像できるからだ。

しかし、今回の場合、掲載を許さないという論調よりも、「表現の自由」という論調に傾いている。つまり、少数民族のような「弱者」ではなく、「脅威」として捉えているからこそ、教義を尊重して、という態度ではなく、ある意味臨戦態勢なのではないだろうか。イスラム教徒も、宣戦布告と捉えているからこそ、抗議活動が国を超えて拡がってしまっているのだろう。

これは、決して遠い国の火事ではない。

インターネットを通じてあらゆる情報が得られるようになった今、世界のある一地点で起こった出来事は全世界から知ることが出来るし、それに対して抗議活動をする人もあらゆるところに居るだろう。

数年前に、日本のある地方でコーランが燃やされた事件を思い出す。結局犯人は見つからずじまいだったが、コーランが燃やされたことに激怒したイスラム教徒たちが、この地域の警察に押し寄せ、デモを行ったが、警察の反応はこうだったそうだ。「え?だってただの本でしょ?燃えたくらいでそんなに怒らなくても・・・」

残念ながら、この反応は、一般的な日本人の反応だと思う。

ライブドア事件も大事だけれど、メディアはもっと世界の大きな事件も時間を割いて取り上げていかないと、無知だったというだけの哀しい理由で、そのうちデンマークみたいな大きな対価を払うことになるんじゃないだろうか・・・
とちょっと心配になってしまったのだった。


■関連ニュース:
Wikipediaより

(国際)(社会)今、欧州や中東を揺るがす大問題が起こっている。その発端は、デンマークのユランズ・ポステン紙が2005年9月30日付で、テロリストを連想させるような爆弾の就いたターバンを巻いたイスラム教預言者ムハンマド(マホメット)の風刺漫画を掲載したことに始まった。これに対し、デンマークのイスラム教徒団体がイスラムへの冒涜だとして激しく抗議し、声明を出すなどした。また、デンマークのイスラム教団体が2005年12月、中東を訪問して抗議活動への協力を求めた。2006年1月に入って、デンマーク外相とアラブ連盟指導者と事態収拾の話し合いをしていたところへ、1月10日、今度は、ノルウェーのキリスト教系雑誌が風刺画を転載したことで、騒ぎは一気に拡大した。中東では、デンマーク製品のボイコット運動が起こり、1月下旬には、サウジアラビアやシリアのデンマーク大使の召還、デンマークのリビア大使館の閉鎖などをはじめ、パレスチナ自治区ガザで武装グループが欧州連合(EU)事務所を包囲、謝罪要求するなど外交問題に発展した。1月31日に、騒ぎの発端となった風刺画を掲載したユランズ・ポスチン紙が釈明をしたが、「表現の自由を守れ」とフランス、ドイツ、イタリア、スペインなどの欧州各国の7紙が2月1日付で問題の風刺画を転載するに当たり、騒ぎはデンマークから欧州各地に拡大するに至った。その後、風刺画を掲載したフランス紙は編集長を解任したが、フランスでは漫画の掲載に同調する動きが広がっている。デンマークの首相はアラビア語衛星テレビのインタビューで、イスラム教徒の感情を深く傷つけたことに「深く心を痛めている」と述べ、双方の溝を埋め、解決の努力をしていることを訴えた。一方、中東では、平和の宗教であるイスラム教を冒涜したとして抗議の声が高まっている。パレスチナ自治政府指導者は、「世界中のイスラム教徒を挑発するものだ」と非難し、アフガニスタン、ヨルダン、イラン、エジプトなどの指導者は、イスラム教徒を侮辱するものであり、また、過激主義にテロの口実を与えるものと警告している。アジアにも波及し、3日、インドネシアでは学生達が抗議集会を開き、イスラム過激派組織の一部が、ジャカルタのデンマーク大使館ビル前で抗議デモを行い、ビルに乱入する騒ぎとなった。事態を重く見た、アナン事務総長は2日、声明を発表して、異文化間の相互理解のための平和的対話の重要性を強調するとともに、メディアもイスラム教徒も行動をエスカレートさせることは控えるよう求めた。

<ムハンマド風刺画>アジア各地でも抗議運動

 【アジア総局・藤田悟】アジア各地でも抗議運動が広がっている。
 バンコクでは6日、デンマーク大使館前にイスラム教徒約500人が集まり、約1時間半にわたって「デンマークはイスラム教徒の敵だ」「謝罪だけでは不十分」などと叫び、同国製品のボイコットなどを呼び掛けた。
 また、AP通信によると、ジャカルタでも同日、デンマーク大使館前で抗議行動、インドネシアのスラバヤでも同教徒がデンマーク領事館に投石し、窓ガラスが割れた。ニューデリーでは抗議する数百人の学生が暴徒と化し、警官隊が催涙弾を発砲した。
 アフガニスタン東部メータルラムでも同日、数百人規模のデモ隊が警官隊と衝突、デモ参加者の1人が死亡した。首都カブールの大統領官邸前でも若者約200人がデモを繰り広げ、少なくとも3人が負傷した。
 パキスタン外務省報道官は「過剰反応があってはならない」が、「イスラム社会全体が(風刺漫画掲載)に失望し、批判している」と述べた。
(毎日新聞) - 2月6日22時50分更新

・ユランズ・ポステン紙記者の言
(http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/4676632.stm#rose)

Flemming Rose is the culture editor of Jyllands-Posten newspaper in Denmark, which originally published the cartoons

I did not ask the illustrators to make the Prophet a laughing stock - I asked them to draw the Prophet as they see him.

In Denmark we have a tradition of satire and humour and some cartoonists made satirical cartoons. We have done the same thing with Jesus Christ and other religions. That's what we do with the royal family, politicians and other public figures. We were not treating Islam or the Prophet any differently from how we treat everybody else in Denmark.

The cartoons have given impetus to a very important debate about integration in Denmark. The debate on the one hand looks at how much the receiving community should compromise on their own values and standards when they are receiving foreigners, immigrants and refugees.

On the other hand the debate focuses on how much of their own culture immigrants have to give up.


・アルジャジーラ http://english.aljazeera.net/NR/exeres/D5B04E77-8BF2-467A-A43C-232B8169F9A3.htm
・BBC http://news.bbc.co.uk/2/hi/south_asia/4684652.stm

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Voici les sites qui parlent de 宗教戦争:

» 預言者風刺画について [元検弁護士のつぶやき]
預言者風刺画 憎悪と暴力の連鎖を断て(毎日新聞の社説 2006年2月12日 0時... [Lire la suite]

Notifié le le dimanche, février 12, 2006 à 03:44 PM

» 風刺画作者の首に懸賞金 [元検弁護士のつぶやき]
風刺画:作者の首に賞金13億6000万円 インド巡礼相(毎日新聞 2006年2月... [Lire la suite]

Notifié le le lundi, février 20, 2006 à 02:23 PM

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