さくらん
わっちも観に行って来やんしたよ、さくらん。
http://www.sakuran-themovie.com/
2007年に観ると宣言した期待の映画の一つ。
星をつけるとすれば、5点満点の4.5だったかな。辛口の人なら3から4くらいにするのではないかな。私は土屋アンナちゃんの大ファンなので、点が甘いのでありんす。
最も素晴らしいのは、映像美。
廓の中という限られた世界でありながら、自然に四季の色を綺麗に取り入れていたり、調度品や襖、衝立、そして花魁の着物の色の鮮やかさ、全てが目を見張る。映画自体が完成された芸術品として見応えがあった。何より、廓の世界に通じる「金魚」をこんなに効果的に綺麗に見せることが出来るのは、常人の感性ではないなぁ、と感動。
残念だったのは、ストーリー性。映像美が凄すぎたからかもしれない。観終わった後に、ハートに残っているのは、映像美が強すぎて、それに勝る印象がなぜだか残らない。帰り道、理由を考えてみて、これかな?と思ったのは、映画の核になりそうな、"女の情念"とか"粋"とか、心情の掘り下げが足りなかったからかも知れない。映像があそこまで素晴らしいと、それに張るくらいのストーリーへの満足感も得たかった。
「好いても惚れても負け。勝っても負け。」という清次の台詞を聞いたときに、あっ、来るかな、来るかな、と期待したのだが、それ以上の哲学を聞けなかったのが残念。
俳優陣がよかったので、尚更そう思うのかも知れない。清次役の安藤政信は、目の演技が最高だった。出生から来る負い目、感情の機微を、さりげない所作で表現していた。土屋アンナはとにかく適役。彼女以外にあの役が出来る人がいたか分からないくらい。完全にきよ葉になりきっていた。菅野美穂と木村佳乃があんなに演技が素晴らしいのも良かった。高尾(木村佳乃)の恋の執念は禍々しくて、"女の情念"がこもっていた。ご隠居役の市川左團次や女将役の夏木マリは、燻し銀のような深みのある演技で引き込ませてくれた。いずれにしても、ベストなキャスティングで、文句のない秀逸な演技だった。(「SAYURI」もこのキャストでやり直してみたら?と思ってしまった。余談だけれども。個人的な興味で。)
吉原のことは殆ど知らないけれども、見聞きしている範囲では、単に春を売り買いしているだけの世界ではなく、非常に文化的な世界だったのではないかと思う。映画中では金魚鉢の中の金魚に喩えられた廓の中の遊女達。恋の駆け引きがあったり、恋に身を滅ぼしたり、身請けがあったり、と色んな人生が待ち受けている。幕府公認の遊郭だったために、身分の高い客が多かったということもあり、花魁のレベルになると、会話の中での気の利いた切り返しや知性などもある程度無いと務まらなかったのではないかと想像できる。
だからこそ、彼女たちの"手練手管"や彼女たちと上手に遊べる"粋"を心得たお客との会話、とか、もうちょっと見てみたかったのかも知れない。きっと素敵なお客様が来たら、惚れてしまうだろうに、惚れてはいけない、というのは非常に難しいことだし、その手管を生業とするのは、まるで「風姿花伝」の「秘すれば花」の心にも通じるような気さえする。
吉原は、色んな意味で心躍る世界。そんな世界を垣間見れたので、もっと見ていたいという欲求に駆られたというのが正直な感想かもしれない。そしてこれは間違いなく最も好きな映画の一つに加わった。
| Lien permanent
|
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- アバターは反米・反戦映画だった(2010.02.01)
- [引用] 現実世界の「アバター」ストーリー:企業の搾取と戦う先住民族(2010.01.31)
- 映画「AVATAR アバター」(2010.01.30)
- エリザベス1世を生んだ王妃アン・ブーリンの物語(2009.09.23)
- 平日家に居ると・・・一方的なメディアの怖さ(2009.08.19)



Les commentaires récents