先日、アンヴァリッドに御宅のあるマダムから、友人と一緒にお呼ばれした。一緒に外食を、とも思ったけれども、と、身重の私を気遣って、家でゆっくりくつろいで食べた方がいいという、心温かい配慮からだった。
息子が生まれた時に、「会いに行きたい!」と、多忙な中、大きな大きな花束を抱えて病院にお祝いに来てくれた愛情深いマダム。優しく色鮮やかな花束があまりに似合っていて、天使が舞い降りてきたみたいだ、と思ったことを、昨日のことのように鮮明に覚えている。
アンヴァリッドは、ナポレオンのお墓のある観光名所、という風に思っていたが、実は、パリのリヴゴーシュ(左岸)の超一等地のど真ん中。ここに普通に住んでいる人も居るんだ・・・と改めて驚きながら、メトロで向かう。
アンヴァリッド駅から更に13号線で一駅のヴァレンヌ(Varenne)駅。待ち合わせはロダン美術館。人気を伺わせる長い行列が外に続いていた。
整然と美しい、閑静な住宅街。大使官邸や政財界の重鎮が住まう上、フランスの大統領や各国のVIPたちがよく行き来するので、警備も厳しく、パリの中では最も治安のいいエリアの一つだとか。東京だと広尾・麻布エリアに該当する。
子どもが出来る前に買ったから狭いけど・・・と通された御宅、狭いどころか、本当に正直、バスルームに住んでも全然文句無い心地よさだった ^^ 土地の広い上海でさえ、これだけ広い御宅はなかなか・・・。
しかし、広いだけではない。シンプルな白壁に、上品な天井の装飾。そしてシャンデリア。一級の調度品と装飾の数々が、互いの魅力を損なうことなく調和している。一昨日行ったモスクと共通している。極度に洗練された佇まいというのは、ミニマルさが品を際立たせるんだ、と、一つ一つのディテールに逐一感心。
ミニマルさに花を添えるのが、美術品と見まがうような美しいアンティークの数々。華美ではなく、変な自己主張も無いのに、なぜか存在感の際立つ品々。そして、全体の雰囲気を損なわないセンス。こうして感銘を受ける、本当に品の良い感性とは何なのか、をとても考えさせられる。
フランスの素敵なところは、こういう感性について、深く考えさせてくれることかも知れない。別にヨーロッパの他の国でも、アラビアでも、長い歴史と、今に伝わる洗練された文化・芸術があれば、いずれももの凄いインスピレーションになると思う。たまたま、今は、間違いなくその代表的な都市のひとつであるパリに居る、ということ。日本の文化にも洗練された素晴らしい感性があるけれども、日本に居る時には見慣れてしまって、その真価をそこまで深く掘り下げて考えることはあまり無い。こうして、相対物に触れると、見た目は全くことなる装飾の文化なのに、何か共通する"美"があるように思える。
アジア・テイストたっぷりのアンティークの屏風が、大きな壁に飾られていても、全く違和感が無く、室内の装飾と調和しているのも、洋の東西に共通している、洗練された"美的な感覚"が自分のものになって、自由自在に駆使できるということなんだろうなぁ。ただ、ただ、感嘆し、溜め息をもらす、友人と私。
※ここは美術館ではありません。個人の御宅です ^^
友人ともども御宅の美しさに呆然としていたら、お食事の準備が整っていた。
時間の無い中で、手ずから色んなご馳走を作って用意してくれたマダム。こちらがアントレ。ギリシャのサラダに、ハムも、イタリアやスペインの美味しいハムばかり・・・!バゲットが美味しいのは、フランスではデフォルトなので、言わずもがな ^^
手作りクスクス。よく煮込んであって、とても美味しい。元はアラブ料理だけれど、パリでは家庭料理でよく出て来るレパートリー。大好きなので、半分くらい食べてしまった・・・!更に、美味しいフォアグラも出て来たのに、写真に収める前にしっかり食べてしまった。
こちらもパリジャンには馴染みのヴェトナム料理だそうだが、まだ義母が作ったのを食べたことがないので、今度ぜひ作ってもらおうかと。春巻きに甘辛いタレをかけていただいた。家庭でこんな美味しい料理が食べられたら、夫も子どもたちも大喜びだろうなぁ〜、と暫し想像。
最後は大好きな大好きな、タルト・タタン。薄〜くスライスされたリンゴが、しっかりと甘くて、涙が出るほど美味しかった。
タルト・タタンとフルーツの盛り合わせ
こういう美味しいデザートが普通に家庭で出て来るのがフランス。べべのためにも、2人分食べないとね〜
ランチの間じゅう、非常に興味深い話が行き交った。傾聴したくなるような会話のセンス、話し方のトーンもまた、学びたいポイントの一つ。でもやっぱり魅力的な人に共通するのは"聞き上手"なのかも知れない、とふと思った。マダムの聞き上手ぶりを、ある男性が絶賛していて、「たぶん僕が知っている人の中で一番聞き上手だと思う」と評していた。訊けば、死ぬほどつまらない話をする人の話を、静かに頷きながらず〜っと1時間以上聴いているのを見たこともあるとか。一緒に遊びに行った友人が、「それで、社交界では、この人、超話がつまらないな〜、とか思うことってやっぱりあるんですか?」と面白い質問をしたら、答えは意外にも、無い、とのことだった。きっと、この人の話はつまらない、とか、そういう傲慢な判断はせず、どんな人の話の中にも面白いエッセンスが含まれているんだ、という知的な好奇心に溢れた方なんだろうと思う。どうしても傲慢な判断をしがちな自分を諌めてくれる、得難い時間だった。
楽しいランチタイムはあっという間に過ぎ、一同、帰宅の途に。
せっかくアンヴァリッドに居るんだから、と付近を友人と散歩することにした。ルイ14世が建てた、元廃兵院。今は軍事博物館のため、敷地の端には大砲が立ち並んでいる。
博物館には入らないけれど、とりあえず入り口まで・・・と入り口に入ってみた。
建物の向こうに見える黄金のドームがある塔の下に、ナポレオンが眠っている。
入り口の傍に立派なクラシックカー(?)が何台か陳列されていたので、観光客たちが大喜びで皆で写真を撮っていた。友人と私もパシャパシャ。友人に車の横に立ってもらって、ポーズして写真撮影。
・・・と思ったら、人の車だった。持ち主ご自身か、ドライバーが鍵を開けにやってきた。あまりに素晴らしい車たちだったので、てっきりバガテル公園で催されているクラシックカーコンテストみたいなものだと思い込んでしまったのでした ^^ ; でも記念撮影出来て良かった
友人と話し込んで歩いているうちに、気付いたらオベリスクまで辿り着いた。
エジプト文字〜
オベリスクは何度見てもドキドキする。ナポレオンがエジプトから盗んで奪って持って帰って来たもの。
それにしても、ナポレオンは随分とたくさん持って帰ってきたものだと思うが、先日大英博物館に行った姪っ子たちは、もっと凄い量のエジプトの遺産を目の当たりにしてきたことだろう。
フランス人もイギリス人も、何でまたこんなにエジプトに魅せられるんだろう。それはまた別の時に調べてみることにしよう。
アンヴァリッド→オベリスク→ルーヴル美術館、まで結局歩いてしまった私たち。いずれもナポレオンに深く関わりのある場所。パリという街は未だにナポレオンという一人の男性の大きな影響がある街なんだなぁ、とつくづく思った。























Les Invalides: http://en.wikipedia.org/wiki/Les_Invalides
Musée de l'Armée: www.invalides.org
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