パリ: 緊急入院、手術、そして退院
わけあって、まだパリ滞在中。
実は、2週間ほど前に、義父の紹介で行った、最新の超音波設備を持ったクリニックで、再度検診と性別確認をしたところ、問題が発覚し、即行大病院へ搬送。(あ、性別は女の子で確定
)
パリで一番と言われる病院で、義父とクリニックの先生の紹介状のお蔭か、直ぐに診察を受け、病室の余りが無いのに、臨時の部屋をあてがってもらった。
診察は夕方遅くで、事態は母子ともに関わる大ごとになって居たので、直ぐに血液検査を受けた。「医師たちで話し合って、血液検査の結果も踏まえて、手術に踏み切るかどうか結論を出します。」と言われる。
不安の中、夫もそばで寝てくれて、義父は心配そうに息子を連れて帰宅。
翌朝早くに医師(インターン。フランスは医師免許を取るまでに最低10年かかる為、病院にはベテランの雰囲気を漂わせた30歳前後のインターンが多かった)が2人で病室に訪れ、「本日の午前中に手術に踏み切ることが決定しました。執刀医が後でここに来て詳細を説明しますね。」と告げる。
数日後まで不安な日を過ごさずに済んで良かった。
執刀医は、180センチほどの長身の女医さんで、長いブルネットの髪をたなびかせ、女優さんかと見まごうような美しく、迫力のある、ハンサムウーマンだった。大きなグリーンの瞳でじっと優しくほほえみながら、ゆっくりと丁寧に、この手術には高いリスクがある事を詳しく説明してくれた。「でも私たちは最善を尽くします。手術をしてもいいですね?」
ああそうか、これがインフォームド・コンセントと言う瞬間か、と思った。選択の余地は無いので、高い医療技術を誇ると言うフランスを信じる以外に無い。「はい、承諾します」
その後、事はトントン拍子に進んだ。印象的だったのは、医療チームのチームスピリット。執刀医と看護師と麻酔医の絶妙なやり取りと和気あいあいとした雰囲気。ムードメーカーは看護師さん。大切な情報は患者に効率よく与えつつ、患者をリラックスさせ、現場全体を把握している安心感。手術中は、催眠術かと思うような癒しの囁きで、患者を安心させる。やはりリスクの高い手術という事で、途中で外科のトップの先生が現れたのを中継。「これはこの病院で最高の先生方のチームだね。手術は大変困難だけど、この先生方なら安心だ。信じてくれるね?」
手術は一時間近くかかり、無事終わった。超音波で子供も元気に暴れている姿を見て、安堵で涙がこぼれた。何度も優しく涙を拭き取ってくれる看護師さん。「良かったね!疲れてない?手術は成功だよ!」
その後、術後の患者を一時的に監視下に置く部屋に運ばれた。急患がヘリでも運ばれて来る病院と言うだけあって、手術を受けた患者がずらり。しくしくと泣いている人や、疲れ切ってぐったりしている人、色んな人がいた。一時間半ほどすると、皆、病室に移されるのだが、私の行く部屋はまだ準備できていなかったらしく、更に一時間ほど待機。
やっと部屋が準備出来て移動、と言う事になり、ベッド移動係のお兄ちゃんが登場。二枚目だが、ちょっとスレた感じのお兄ちゃんで、病院のお姉さんやおばちゃんたちに可愛がられている風だった。ベッドの移動中、色んな人に話しかけられて、いじられていた。
病室に着くと、ちょうど夫が来てくれた。いつも余裕綽々と構えている夫。多分すごい心配なんだけど、術後の妻を、色んなジョークや他愛無い話で笑わせようとする。「昨日、ここの病院はフランス一だって言っちゃったけど、間違いだった。正しくは、パリで一番ね」「パリで一番なら充分でしょw」
病室は新しく、小ざっぱりしていた。結局、退院のOKが出るまで、一週間弱入院していたのだが、毎晩夫も簡易ベッドで付き添って寝てくれて、何くれと無く世話を焼いてくれた。義理の両親や義兄夫婦も雑誌の差し入れを持って来てくれたりして、本当に嬉しく、心がほっこりした。パリで一番心にしみているのは、フランス人は個人主義と言いながらも、家族の絆の強さかも知れない。義兄が息子をずっとあやしてくれたり、義理の姉が、病室でずっと私の手を握ったり、額を撫でてくれるその姿には、家族の愛ってこういうことか、と深く感動した。
退院は出来たが、ドクターストップにより、上海に戻ることは罷りならなくなった。二番目のべべは、この同じ病院で産むことに。幸い実家から近いのと、まあ、私のように高リスクな出産経験の持ち主には、ベテラン医師の揃った病院で産むのは寧ろ安心なので、怪我の功名だったかも知れない。上海のママ友たちからは、「暫く会えなくて寂しいけど、パリで産む方が良いじゃなーい」と皆口を揃えて言うのが可笑しい。パリ出産=ゴクミとか中村江里子さんみたいなセレブ出産、というイメージがあるらしいけど、そんないいモンじゃありませんから~![]()
今回、夫とその家族、フランスの高い医療レベルと素晴らしい医師の先生方に心から感謝している。日本の家族も、息子を引き取って世話してくれると言ってくれたり、阿姨も、フランスに赴いて息子の面倒を見てくれると申し出てくれたり・・・どれほど感謝してもし足りない。辛い出産経験のある上海のママ友や、パリ在住のママ友は、親身になって色んな相談に乗ってくれた。
自分は一人では何も出来ない。多くの人に助けられ、教えられ、やっと生きている。その事を強く実感した出来事だった。
私は必ずこの御恩を社会に還さなければ。子供たちにも、彼らが生あることは、多くの人々の愛のお蔭だと、必ず教えたい。
こうして、私たち母子のパリ滞在が続くのだった。
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Commentaires
ホッとしました。
Rédigé par: ふじた | le mercredi, juillet 13, 2011 à 12:38 PM