パリで"龍馬伝"
最近、夫が買って来てくれた去年のNHK大河ドラマ龍馬伝のDVDを就寝前に一緒に観るのが日課になっている。ふたりして、幕末にハマっている。
今更ではあるが、しかし毎週ドラマを観ると言うのが出来ない気質なので、いっぺんに観られるのは良かった。
夫はもともと幕末には興味があったのと、ドラマ"JIN"を上海で独りで全部観たので、坂本龍馬の時代はだいぶ詳しくなっていて、"尊王攘夷"とか"参勤交代"とか、江戸時代の独特の用語にも相当明るくなっていたし、何より歴史上の人物名に精通してきたのが良かった。今は龍馬伝のお蔭で、"ご公儀"とか"蟄居"とか、"鯨海酔候"とかw、果ては土佐弁・長州弁にも通じるようになってきた(^^) 薩摩弁と江戸弁は、いま少し。
また、龍馬に限らず、幕末の大きな歴史的事件があった場所には色々訪れてきた。
2009年の10月には、ふたりで長崎を旅したのだが、旅先で初めて翌年の大河ドラマは龍馬伝が放映されると知って、驚いた。龍馬の足跡を辿り、亀山社中や風頭公園、若宮稲荷神社、グラバー邸、と、まわった。出島の博物館も、じっくりと見て回り、鎖国の日本にあって、この地だけは、ヨーロッパや清の文化が実に豊富に流入していたことを共に肌で感じてきた。
京都も何度も足を運んでいる。京都自体が常に歴史の中心なので、何処に行っても歴史の名所に当たるが、木屋町通のお気に入りの料亭があって、ブログでも何度かエントリを立ててきたが、其処はまさに諸藩の藩屋敷が並んでいた場所だったと後で知り、物凄く興奮してしまった。
函館も会津も夫とともに行った。
実は私、元々が日本史オタクで(歴女とまではいかないと思うが、日本史に夢中になり過ぎて、世界史には全く興味が無かったくらい)、箱館戦争とか白虎隊とか、小さい頃から調べまくっていた。函館と会津は、家族旅行で毎年のように訪れていたので、夫を案内する時も、ちょっとしたツアーガイド気取りw
しかし、本人は嬉しくてあれやこれや話すのだが、話すのがヘタな上、自分の趣向に釣られて話すので、夫には非常にわかりづらかったようだ・・・orz
龍馬伝を観るにあたり、夫がポツリと言った。「ふたりで結構幕末に関わる場所に行って来たと思うんだけど、その場、その場で言われても、全体の流れと繋がりがわからないから、大枠を説明してもらえるかな?」
確かに、歴史は色んなことが絡み合っているので、点とも行かず、線とも行かず、面で考えた方が結局わかり易い。一箇所ずつ深掘りするのは興味深いが、他との因果関係がわかっていないとより深い理解は出来ない。
そこで、私は日本地図を描き、自分たちが行った場所を示し、プラスして、長州・土佐・薩摩の場所を示し、幕末の流れを超簡潔に説明した。
これを前座に、ふたりで観始めた。
結果、元々日本史好きな私は勿論、夫もかなりハマり、日本の幕末には随分凄い英雄たちが居たものだと感嘆していた。まだ25話までで、半分観終わったばかりなのだが、龍馬をはじめ、勝海舟、桂小五郎、岩崎弥太郎、山内容堂、新撰組、等々、幕末の名立たる人びとに魅せられ、観終えた後も、何でこの人はこういう行動をしたんだろうか、何でこういう凄い人材が現れたんだろうか、などと就寝前に毎日議論したりするのがまた愉しい。
夫が言ってて面白かったのが、「武市半平太とか龍馬とか、幕末活躍した人たちが幼馴染みだの、本当にこんなに最初から固まっていたの?」と訊かれたので、確かにそう思っても不思議はないと思いつつ、「だって、幕末から日本を動かした長州藩の有名な英雄たちは、吉田松陰の松下村塾で学んだ20名だよ。固まっていても、何の不思議もない。」と返答。そう、幕末の逸材は、藩校だったり私塾だったり、名立たる師のもとで各々切磋琢磨して育った人びとだった。そこがまた、幕末史の大きな魅力だと思う。
ひとつ、予め言い忘れて失敗したのは、なぜ土佐藩は上士と下士の身分の別が厳しかったのかということ。下士が元・長曾我部氏に仕えて居た幕府の仇敵であったと言うことが分からないと、他の藩では下級武士でも才覚があれば引き立てられて居ても、土佐藩だけは断固として容堂公が許容しないと言う現象の理解が難しい。
日系企業にも勤めて居たし、数多、日本人の習俗やメンタリティに関する本を読んで理解を深めてきた夫には、幕末、尊王攘夷に走る武士たちの気持ちもだいぶ理解出来ていて(共感はせずとも)、我が夫ながら、そこは凄いな、と思った。ここは個人的には、外国人が理解するには一番難しい概念なのではないかと思っていた。神国日本と言う概念、幕府と朝廷の"権力"と"権威"という関係、幕府と諸藩との関係。
※正しいかはわからないが、義理の両親に権威と権力の説明をする時には、ローマ教皇とフランス国王の関係に似ている、と喩えたら、ああ、なるほど、と納得してもらえたようだった。中国の皇帝はまた違う概念だし、相対物を探して説明するのは意外と難しい。
夫が疑問に思うと訊いてきてくれるので、私は説明をすることで、頭の中で自分も整理できるし、面白いことに、夫は夫で、興味津々の両親に毎晩ディナーでわかり易く説明をしているので、本当に理解しているのだと言うことが、よくわかった。つまり、ドラマを観ては、議論し、おさらいし、付随する情報をサイトで調べて得ればシェアをし・・・と言う、ハマりっぷり。
義母は元々、秀吉の時代の歴史や文化が好きなのだが、「幕末の話の方がずっと面白いですよ」と宣伝までする私。義母は主演の福山雅治がイケメンだと大騒ぎしていたので、龍馬伝フランス語版があったら、韓流ブームならぬ、ジャポ流ブームをフランスで巻き起こせるかも・・・!?なんて想像してしまった。
福山サマ(サマ付けw)は素敵で、マイルドで洗練された龍馬な感じなので、本音を言うと、自分が思い描いていた龍馬とは違うのだが、何やってもカッコ良いので、これはこれでヨシ(^ ^)
周りのキャストがまた濃くて上手くて、夫とともに感嘆しきりだった。
岩崎弥太郎にはいつも笑わされ、武市半平太の生真面目過ぎるところと繊細な心の襞には唸らされ、吉田東洋の怪演ぶりにはハラハラし、山内容堂の眼光に底知れぬ恐ろしさを覚え、岡田以蔵のナイーヴな純粋さに涙した。
お笑い芸人さんの演技の秀逸さにも驚いた。宮迫博之さん演じる田中収二郎の凄みは、土佐勤皇党の志士たちの殺伐とした思いを忠実に描いていたと思えるし、原田泰造さん演じる新撰組の近藤勇もイメージにピッタリだった。夫とともに、何でこんな名優なんだ、とひたすら驚く。
勝海舟は物凄くモダンな風貌のイケメンだと思っていたので、武田鉄矢さんが演じているのは一瞬ミスキャスト・・・と失礼ながら思ってしまったのだが、べらんめえ口調と熱いハートがハマっていて、やはり名演だと思った。
・・・と、ツラツラ、ツラツラ、書いてしまったが、幕末の話は、観ても聴いても、胸が熱くなる。
ドラマを観ながら、「京都にまた行こうね」と言う夫。これだけ知った上で観に行ったら、さぞかし心踊るだろう。
京都の幕末ゆかりの地を巡るがじゃ!
追記1:
だいぶミーハーなエントリになってしまったが・・・
ドラマを観ていてつくづく思うのは、人の世は綺麗事では片付けられないなぁ、ということ。
幕末の英雄たちの活躍を見ると、確かに胸躍るが、頭角を表せば表すほど、他者に影響を及ぼす人になればなるほど、利害の対立する勢力に生命を狙われ、酷い場合には、武市半平太や岡田以蔵のように、自分の藩に捕えられて拷問されたり打ち首になったり・・・
新撰組だって、何だかカッコいいイメージがあるが、池田屋事件のような血なまぐさい虐殺を考えると、時代が大きく揺れ動く時に起きる多大な犠牲には胸が痛む。
武市半平太の、「わしが正しい」と、悩みつつも、常に自分の思想を正当化しようとしていた姿に共感出来なかったのは、自分の正当化の行き着くところが、相手を滅ぼすことを厭わないという考えに通ずるから。
先の見えない時代には、自分が言うことだけが正しいと言う信念を持った人が、とても輝かしく見えてしまうが、それはとても危険だということと、かと言って世の中は、後世の人たちが「あの時こうすれば良かったのに」と思う方には得てして進まない、ということ。
幕末、そして明治維新が、多くの犠牲の上に成り立っていた時代なのだ、と言うことは、常に念頭に置いておきたいと思う。
追記2:
幕末&龍馬関連過去エントリ
・鹿児島紀行 ~ 天孫降臨の峰 登山開始
・鹿児島紀行 ~ 高千穂峰 天之逆鉾到達
・鹿児島紀行 ~ 西郷隆盛と南洲神社
・上海歴史探訪: 外灘(The Bund)を歩く その1
・ラスト・サムライのモデルはフランス人











































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